こんにちは。

青年海外協力隊として2年間モザンビークで活動中です!

2010年10月7日木曜日

葛藤から希望へ

 毎日の活動に、いつも大きな葛藤が付きまとっていた。


「モザンビークでは子どもには命令し、管理するのが当たり前だ」けれど、
「自分は子どもに近い距離で接したいし、子どももそれを望んでいる」のだ。

モザンビークでは、基本的に子どもは「労働力」である。家で作ったパンケーキみたいなのを路上で売ったり、畑仕事をしたり、料理や洗濯なんかは子どもの仕 事である。子どもは空いている時間に勝手に遊べばいいけれど、仕事の時間には仕事をしなければいけない。
この2ヶ月、僕の同僚が自発的に子どもと遊んでいるところは一度たりとも見たことがない。しかし彼女は自分の服をわざわざ孤児院に持ってきては、子どもに 洗濯させている(!)。
さらに、この孤児院では、子どもに対するイメージが最悪だ。
「あぁ、あの子はゴミよ。家から追い出されてきたんだから。」
とかは平気で言っている。子どものいうことなんて聞く必要はない。一緒に遊ぶ必要もない。子どものために働くなんてとんでもない、子どもが自分たちのため に働くのだ。

賛同はできないけど、否定するものでもない。
日本でテレビゲーム漬けになり、ろくに家事も手伝わない子を思い出すと、悩みは不覚なる。
自分がボランティアしていた小学校では子どもが定年退職したボランティアに白髪ジジイと叫んでいたけれど、こっちではそんなこと、あ り え な い。
それほど、大人は怖い。
そういう意味で、こっちのほうがよく「管理」されていることは間違いない。



だけど、自分は子供への管理を強化するためにわざわざ来たわけじゃない。
子どもが何かを達成して喜ぶ瞬間を一緒に味わうのが好きで来たんだし、
いろんな事情があって孤児院に住んでいる子どもたちのことだから、なるべく話を聞いてあげられる存在でいたい。
だからなるべく距離を近くして、自由にのびのび遊ばせてやりたいと思う。

でも、そういう「優しい」大人は、同僚からは「無能」な人と思われかねない。
子どもをコントロールできていないのだから。
日本ではこうだよとか説明しても、ふーん、である。
 
だから、すごい葛藤がある。
(子どもに厳しくありながら、彼らの意見も聞くような、理想的な先生になればいいのかもしれないけど、
やっぱり「子どもの意見を聞く」という価値観で、日本とモザンビークのぶつかりが出る。)

***子どもの表情から見る、大人への態度の変化***


(働き始めた日の女の子。大人の僕を怖がっていた。)


(最近、甘えが止まらなくなった彼女。笑)

****

だいたいのときはモザンビーク流に厳しく、だけど同僚が来ていない日には一緒に遊ぶなどして、すごくどっちつかずの感じで活動をしている。
こんな感じでいいのかな、同期の隊員によってはもっと自分の主張とかやり方をはっきり言ったり出してやっている人もいるみたいで、
自分には信念がないなとか悩むときもある。


そんなときだった。
いつもパワーを与えてくれるdaisukeのブログに、彼がインタビューを通じて聞いた、NorthWestCenterのCEO,Tomさんの言葉が 載っていた。
(詳しくはをhttp://www.daisuke344.com/archives/201010/pick-past-and-go-my-way /ご覧ください。このブログ、特に同年代のみんなにめっちゃオススメです。)
以下に引用させてもらいます。



まずね  自分の中の葛藤や矛盾は決してそれ自体、悪いものじゃないんだ
 
円を想像してごらん?
 
まず僕らは ある一つの点から生まれるんだ
 
ただし、そこから自分の中で矛盾や葛藤が起きて 二つに分かれてしまうとする
 
たとえば、いまのきみみたいに、 <認められたい自分> と <ひとの目なんて気にせず自分のやりたいことに積み重ねたい自分> だ
 
ただそれらの分かれてしまった二つのモノは 
まさに円をなぞるようにして上へ登っていって
最後には円を結ぶように 一つになる 一つの点にもどっていく
 
これと同じなんだ
ぼくも <お金を儲けたい自分> と <社会正義に貢献したい自分> この二つの葛藤と矛盾があった
 
でも最後にはこうやって二つは結びついたんだ
そしてどんなことでも必ず 結びつく 必ず一つにすることができるんだ
 
なぜならそれらの感情は 産まれた元は 一つの点からなのだから
 
だからどんな葛藤や自己矛盾がその瞬間にあっても
それは必ず結びつく、円を描いていくことができる
そしてその円を創っていくことこそが 人間としての成長なんだ
だからまずなによりも 矛盾や葛藤自体を 決して否定してはいけないんだよ」
 
 
(この「円」の考え方、じつは同期のヤナとニッシーは大学生のときから、自分の口で語っていたことも思い出した!)


daisukeはおぉーっとおもわずうなってしまったらしいけど、まさしく同感。

特に根拠があるわけじゃないんだろうけど、とても素敵な考え方だと思うし、心のなかの焦りを取り除いて、ゆとりを与えてくれる。
この言葉には救われました。

(こういうことを、「人間力」と言うのですな)



この葛藤もいつか一つになることを信じて、今日も悩みながらやっていけばいいのかな。

4 件のコメント:

  1. おつかれさま。
    あした小学校です。
    わたしは『寄り添う人間でありたい』と思って子どもたちにも接しています。
    『新人のクセに生意気!!』と最初反発ばかりしていた1年生が2年生になって、『僕の隣に座って^^』と言ってくれるようになった変化は嬉しいものです。
    管理しなくても信頼関係ができたら、相手は理解して動いてくれる存在だと信じています。
    管理じゃなくて、信頼を得ることは決して『無能』ではないし笑顔を引き出せる人は素敵だと思います。

    masami

    PS.自分のパソコンからじゃないのでこんな投稿になってしまってごめんなさい

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  2. この記事読んで自分がフリースクールの寮で暮らしてたころ思い出したよ

    葛藤を乗り越えてますます大きくなるおーくぼ、頑張って!

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  3. ともじー☆
    お久しぶり。
    講座委員をともにしたまっきーです。
    最近私も、いろいろ葛藤してるので、思わずこのブログを読んでうなってしまったわー 
    子どもの笑顔は何にもかえがたい力で宝だよねー
    退院していく、子どもの笑顔が今は一番の力の源です。
    お互い葛藤の円が結ばれますように☆

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  4. >まさみさん

    まさみさんがコメントのように子どもの心をつかんでいく様子、目に浮かびます。
    僕も、なるべくそんな存在になれるようにやっていきたいなと思い出させてもらいました。
    そういう時は本当に幸せな気分になりますよね!

    >イナ
    コメントありがとう。
    ものすごく、ものすごく考えさせられました。
    あの日、イナが話してくれたことを鮮明に思い出したよ。
    うん、やっぱりあのときの職員のようにはならないよう、そこだけは自分でも気をつけていこうと思った。
    イナに胸を張って報告できるような、そんな態度でいることを心がけようと思うわ。

    >まっきー
    おぉぉぉぉー、なんとまっきーではないかぁ!!
    ひさしぶり!元気にしてる??
    葛藤仲間発見、というかやっぱり協力隊の仲間は本当に心強いね。
    本当に、お互いいつか、克服できるまでは辛抱して、目の前のことを丁寧にやり続けようね。
    まっきーはブログとかmixiやってる??
    もしやってたらぜひ教えてー◎

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